日日是好日

思い立ったときにだけ更新。大阪→和歌山→高知→奈良在住。現在、医療系大学教員。 音楽にお酒,映画に読書,四季折々のおいしい食べものと楽しみを満喫することと,愉快で情熱的な仲間と語らうことが,バイタリティーの源です。

COVID-19に想う

新型コロナウィルス(COVID-19)の一連の騒動が世間を席巻している。

この一件のことを書くと、ついつい語気が強くなってしまうが悪しからず。

 

各国で、感染と感染拡大を防止するための要請や措置がとられている。しかし、その効果のほどは毎日感染者数が増加している現在、判断できない。

本来、陣頭指揮を執っていかねばならないはずの政府も、日々増加し続ける感染者数に翻弄され、後手に回り、十分な根拠を説明できないまま対策を連発している。

 

そんななか、Newsweek誌(日本版3月10日)では、ダイヤモンドエクスプレス号乗員・乗客の感染について、潜伏期を考慮すると、感染者の多くは介入前に感染したもののようであり、政府の対応にも一定の効果はあったのではないか、としている。

確かにそのような解釈も可能だが、国民の心情は結果論に偏っていることもあり、今回の対応について肯定的な意見は少ないだろう。

一方で、対応した検疫官や政府関係者などが感染してしまったのは大変残念なことである。昼夜を問わず多大なリスクを覚悟で過酷なミッションの遂行を迫られていたスタッフが、世間から多大なパッシングを受け、挙句の感染。これはあまりに報われない。

船内で対応した乗員や専門家などには同情する。船内での活動に、どれだけ明確な戦略が示されていたか定かではない。これまでの政府の対応をみていると、決して十分なものでなかったであろうことは容易に想像できる。

にもかかわらず、この緊急事態にわが身の犠牲をいとわず粉骨砕身したスタッフに罵詈雑言を浴びせ人がいるとは。これは、自分が当事者となり得ることを想定していない者の発言であり、対岸の火事として傍観しているが故の軽率な態度であるとしかいえない。

 

先日、あるテレビ番組でCOVID-19の話題が取り上げられ、タレントをはじめとするコメンテータが議論していた。

途中、専門家が「50,60代以降は重症化や死亡のリスクが次第に高まる」、という話に及んだ。そのとき、ある50代のタレントが「えっ!私も該当してるんや!気を付けないと」という旨の発言をしたが、この発現こそが真意を表しているように思える。

当初より、若い人は体力もあり重症化しずらいということが報道されていたが、このタレントは「自分は若くて体力があるので大丈夫だ」と「大丈夫な側」という立ち位置にいたのだろう。

奇しくも、このタレントは、COVID-19に感染して治療している、あるいは亡くなられた方と私は異なる側にいますよ、と暗に自白したのである。しかし、自分が「危険な側寄りの人になる可能性」があることを知ると、途端に態度を改め、「気を付けないと」という発言に及ぶのである。

 

現在のCOVID-19に関する要請・措置は、もはやエピデミックからパンデミックへと拡大する最後の水際作戦ともいえる。なかでも途上国などは、未だ十分な公衆衛生が行き渡っておらず、検疫技術・機関と医療を備えた先進国間の国際協力が終息を左右するだろう。

各々が大切にしないといけないのは、必要以上に不安を覚えたりデマゴーグに左右されることのないよう、現状を冷静に見定めること。そして、これらの事態は決して他人事ではなく、いつ自分が家族がそのような危険に曝されるかもしれないという「適度な危機感」をもって、手洗い・うがい、人込みを避けるなど身近なところで実践できることをこなしていくしかない。

 

早い終息を祈るばかりである。